2013年04月09日

【報道】ウナギについて

あんまりこういう記事には触れたくないのですがあまりに最低な記事なので。

ウナギ、もっと手軽に 外来種の活用広がる フィリピン産など
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDJ0500L_V00C13A4MM0000/
2013/4/8 12:00日本経済新聞 電子版

 日本の食卓に並んできたニホンウナギの資源枯渇が懸念される中、加工業界などで外来種を代替に活用する動きが始まった。外来種はフィリピンなどから導入。ニホンウナギに比べ資源に余裕があり割安に販売できる。4月中にも外来種でつくったかば焼きが、小売店に出回る見込みだ。
 ウナギ加工業のカネナカ(愛知県豊橋市)はフィリピンから調達したウナギの一種「ビカーラ種」を使ったかば焼き製品の出荷を始める。稚魚を愛知県や福岡県などで養殖し製品に加工する。ニホンウナギより体が短く頭が大きいが「かば焼きにすれば、食べてもニホンウナギとの区別はほぼつかないだろう」(同社)という。
 稚魚の仕入れ値は1キロ20万円とニホンウナギの10分の1以下。出荷価格はスーパーなどが1匹980円で売れる水準に設定し、月内には店頭に並ぶ見込み。初年度の出荷見通しは50トン前後。外食チェーンにも売り込む考えだ。
 外来種では中国で養殖されたヨーロッパウナギが加工品として販売されているが、国内で養殖した外来種が出回るのは初めてという。
 食品卸の瑞祥食品(東京・中央)も今夏、フィリピンで体長約15センチまで育てたビカーラ種の幼魚を日本のウナギ養殖業者に販売する計画。「ニホンウナギの稚魚が高騰し困っている業者に売り込みたい」といい、初年度は約10万匹の出荷を目指す。
 東和貿易(東京・中央)も中国で養殖・加工したかば焼き製品を輸入する予定。「既存商品より2〜3割安く売れるので関心を持つ量販店が多い」(同社)。水産商社の佳成食品(東京・千代田)も北米などに生息する「ロストラータ種」の稚魚を中国で養殖したかば焼きの輸入を検討中だ。
 国内で主に消費されるニホンウナギは、環境省から絶滅危惧種に指定されるなど資源が枯渇。2011年末ごろから取引価格が高騰し始めた。

ウナギ関連報道が酷いのはいつものことなのですが、この記事は特に酷いと思いました。というのも、今回話題にしているフィリピン産ウナギは「外来種」ではないからです。あえて表現するなら「外産種」。フィリピンウナギは日本に侵入・定着し、在来生態系を脅かしているわけではないのです。

ブラックバスやアカミミガメを代表として、外来種問題はいわゆる環境問題の中でもそれなりに認知されてきた話題です。「外来種」という『よろしくないもの』として認識されている用語を意図的に使用することでウナギの消費にお墨付きを与えようとする非常に悪意のある最低の記事だと思います。

日本のウナギ消費は既にニホンウナギだけでなくヨーロッパウナギまで絶滅の危機に追い込んだ実績があるわけです。記事にあるように薄利多売の大量消費生活を続けようというのであれば、フィリピン産ウナギについても数年後全く同じ運命を辿ることになるでしょう。

posted by かめふじ at 09:27| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月04日

【研究】卒論・修論はpublishすべきか?

すべき。


というわけでハナシは終わってしまうのだけど、それはあくまで理想論です。実際に学部・修士で終わってしまってpublishに至っていない研究なんてそれこそ星の数だけあるわけで、別にpublishできなかったからといってそのことで批判されるべき、とはあんまり思いません。『税金を使って研究させていただいているのだから』と学生に求める向きもあります。それは確かにその通りなのですが、だったら学生より先にその税金を給料として生業にしていながら一向に論文を書こうとしない教員なり研究者なりを先に批判しなさいよ、と思います。

僕も自分の卒論を査読付き論文として公表するのに5年もかかっていますし、修論なんか10年経った今でもリベンジの再実験目指して各種助成金申請書類を書いてるくらいですから、修士でやめてしまった学生さんでも最終的な目標としてpublicationを目指しているのであれば応援こそすれ、いくら時間がかかろうが批判なんかしませんよ。

ましてや研究者の道から別の道を歩もうとしている人にそんなことを強制などできようもない。だって論文書くのにどれだけエネルギーが必要かなんて自分がよくわかっていますもの。それに卒論・修論がpublishできるかどうか、ってこれはもう学生個人だけの能力の問題だけじゃなくて、教員がそこまで面倒見てあげられるかどうかってのも大きな要素だから全部自分で責任を背負い込む必要はありません。僕も卒論はかつての指導教官が最後までしっかり面倒見てくれたから出せたわけで、自分一人でできたことだとは思いません。大学院で数年間研究活動に勤しみました、ってだけで一人で論文publishまでもってけるならソイツはスゴいヤツ。だから目標さえ見失わなければいくら時間がかかろうがいい。

それに、研究者として生きていくのでなければ特に英語で論文を出すことを目標にする必要さえないのです。特に自国の農林水産業に貢献したい、という研究内容であればなおさらです。その成果を一番伝えたい相手は誰か?それがお世話になった漁師や研究者なら別に和文の論文でも何の問題もないのです。アカデミックな世界で生きたい、と望むのであれば、和文論文では評価対象として一段下に見られてしまう、そのため英文査読付き雑誌、できればIFの高いjournalに、となっているだけで、そもそも応用科学では誰に伝えたいのかが明確な分、和文の存在意義もあるのです。

英文か和文かを問わず、学部なり修士なりで就職して、特に研究者を目指しているわけでもないのに査読付き論文として自身の成果を公開することができたらそれはすごいことだ。誇ってよい。それくらいのことだから、論文を出すことに職業研究者ほどの義務感をもって当たる必要はどこにもないのですよ。その義務感で追い詰められて自分の研究内容さえ嫌いになってしまっては本末転倒です。10年後だって出せたらすごいと祝福するよ。学問の扉はいつでも開放されている。学問にも手を出せる余裕ができたとき、改めて向き合うんでもいいんじゃないかな。

ただ研究内容って時間が経ちすぎると腐るところがありますから、そのへんだけ気にしてのんびり進めればいいのだと思います。

posted by かめふじ at 17:02| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月01日

【年度】更新

新年度ですね。昨年度の直属の上司であった特任部長が定年退職され、所内で多少の異動が(書類上)ありました。まぁデスクを引っ越せ、とかそういうことはなかったのですが。年度が替わっても僕は相変わらずクラゲのお仕事です。

しかし、先日とんでもないことが明らかになりました。
僕とは違うグループなんですが、底魚プロジェクトの方では底引き網採集調査をやるんだそうです。で、底魚以外にも当然様々な無脊椎動物が採集される、と。で、そのステキなサンプルはどちらに保管されているのですか?と聞いてみると「僕たち魚しか用がないからみんなその場で捨ててる」という驚きの回答。

宝の山じゃないですか何やってくれちゃってるんですか…

というわけで採れたらそのまま冷凍庫に突っ込んで帰ってきてくれ、何があっても捨てるようなマネはしないでくれ、と底魚グループ長に営業に行ってまいります。基本的に時間を取る作業でなければやってくれるとのことなので、東シナ海の海底のステキサンプルが手に入ることになると思います。あぁやっと水研のお仕事にちゃんと貢献できそう…

相変わらずクラゲプロジェクトでの貢献は難しそうですが、クビにならない程度にクラゲのお手伝いもしつつ、これまでただただ死んでいたサンプルを蘇らせることで水研と科学の世界に貢献したいと思います。エイプリルフールだけど特にそういったネタはございませんスミマセン。
posted by かめふじ at 18:51| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月24日

【天草】おっぱい岩

乗船中の土日代休&有り余る有給消化のため、3/18が今年度最後の出勤日となりたいへんヒマです。というわけでバイクで九州一人旅中。現在は鹿児島市内におります。

道中 天草で見たおっぱい岩。
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おっぱい岩にはカメノテが付着しておりました。

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posted by かめふじ at 19:37| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月18日

【雑記】沖縄から新学術誌創刊

ちょっと反応が遅くなりましたが新学術誌創刊のニュースです。創刊されるまで全く何も聞いてませんでしたが、我が母校 琉球大学より掲載無料のopen access journal、Fauna Ryukyuana が刊行されました。

Fauna Ryukyuana
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/naruse/lab/Fauna_Ryukyuana.html


琉球列島に産する動物全般の分類, 分布情報, その他動物相に関する原著論文, 報告, 記録, レビュー, その他あらゆる報文を掲載する, 査読付きオンラインジャーナルです. ページチャージ, カラーページ掲載ともに無料とし, 生物多様性情報の蓄積と共有の場を提供することを目的としています.


ということで、とにかく沖縄の生物について面白い事例があればガンガン掲載して、情報を共有しましょう、という方針。urlがナルセさんの個人HPの内部に置かれているあたりに一抹の不安を感じないわけでもないですが、いずれきちんとした体制に整えていかれることと思います。

ちょっと気になるのは、同様の主旨でずっと活動している沖縄生物学会誌や、沖縄両生派虫類研究会会誌であるAKAMATAとの住み分けです。どちらもこうした沖縄の自然史情報を扱っているものです。ここで掲載もDLも無料のopen access journalを作ってしまうと、古くからある両者の存在意義がなくなってしまうのでは…と思いました。

僕としては、査読付きでこうした自然史情報を扱っていこう、ということであれば和文はなくして英文のみのjournalとすれば、以前からある2誌との住み分けもできていいのではないかと思うのですが。いずれにせよなんだかんだで学部からずっと世話になっている風樹館のjournalなので、著者としても査読者としてもできる限りの貢献をしたいと思います。

…ってこの前 沖縄のフジツボの再記載別の雑誌に投稿しちゃったよ だって本当に何も聞いてなかったんだもの。
posted by かめふじ at 09:21| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする