2014年09月25日

デジタルに適応できない論文読み書き初学者のための論文読み書き法

卒論生が渡した論文を全然読んでくれない、こんなんで卒論できんのか、などという友人たちのグチがポロポロと聞こえてきました。未だ支援職員で特に学生の教育義務があるわけでもない僕には今のところあまり縁のない悩みですが、研究生活が始まったばかりの頃の僕が迫りくる論文紹介と教科書輪読ゼミ当番をなんとか回すために始めた論文読み書き法を紹介しようと思います。デジタルに適応できた人はわざわざ印刷せんでも論文は読めるし原稿を直すこともできるのでしょうが、どうしてもそれができないアナログ人間のための個人的論文読み書き法でもあります。

方法は簡単、片面印刷した論文なり原稿なりを、右側に次ページの裏面がくるように綴じるのです。こうすると右側に広大なメモスペースが生まれ、知らない単語の意味から関連事項、教科書からのメモ書きなどありとあらゆる情報を少なくともA4一枚分は詰め込むことができます。
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↑知らない単語とか要約とか関連文献からのメモ書きとかガンガン書ける。学位をとって数年経過する今でも難しい論文とか分野外の論文とか専門に近くてもちゃんと読まないといけない論文とかはこうして印刷してます。メモスペースはたくさんある方がいい。こうしてとにかく自分に不足している情報を書き込んだ論文は、終わってみると自分専用のある種の教科書のようなものにもなります。意外にこうして論文を読んでる人がいなかったようので紹介してみました。特に、ゼミで論文紹介や教科書輪読を当てられて初めて英語の論文を読もうとする卒論生や院生にはこの方法をオススメします。

僕は今もなおモニター上で原稿の改訂というのができないので、原稿の改訂も全てこれでやってます。
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↑単語とかスペルミスなんかは赤のボールペンで、文章とか段落単位での修正は何度も書き直すことがあるのでシャープペンで、一通り書いて修正分をパソコンで打ち込んだら緑のボールペンで終了印をつけています。査読が回ってきたときもツッコミコメントをガンガン書き込めるのでオススメです。

左利きの人は知らないけど、右利きの人にはけっこういい方法だと思います。薄い紙にインクジェットプリンタで印刷すると裏映りが激しくて時間が経つと鉛筆書きは読みづらくなります。問題は片面印刷なので物理的にものすごくかさばること、そして紛失するとけっこうダメージが大きいことです(まぁ紛失が怖ければスキャンしておけばいいだけのハナシですが)。いや荷物重いからipadとかでも論文読めるようになりたいと思ってはいるんですよ(でもできない
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2014年07月07日

【論文】ウミガメ産卵巣の犬による食害

Roaming characteristics and feeding practices of village dogs scavenging sea-turtle nests.
Ruiz-Izaguirre et al. 2014
Animal Conservation, doi:10.1111/acv.12143


野犬によるウミガメ産卵巣荒らしの被害がけっこう世界中で知られているそうです。この論文では地域の犬に発信機を取り付け行動を追跡し、ウミガメ産卵巣を荒らす個体とそうでない個体の行動の違いを検証しています。

inu3.jpg

その結果、ウミガメ産卵巣を荒らす個体は荒らさない個体に比べて行動圏が広いことが示されました。また、この研究では飼い主へのインタビューなども行われ、栄養状態も調査しているのですが、どうやら腹減ってる個体ほど広くウロウロしてウミガメの産卵巣を荒らす傾向がみられるようです。そんなわけで、カメのためにも飼い主は犬にきちんと餌を与えましょう、というオチの論文でした。

日本国内では犬による被害を聞いたことはあまりない気がしますが、日本の犬はきちんと餌を与えられているからなんでしょうか。野良犬のこともあるし、日本で起こらないこともないと思うのですが。大型哺乳類による食害は八重山の方でリュウキュウイノシシによる食害があるらしい、というハナシを聞いてはいるのですが、僕が沖縄本島をウロウロしていた頃には少なくともやんばるでは大型哺乳類による食害はなかったような気がします(やんばるにもリュウキュウイノシシはいるけど、八重山ほど多くない)。世界ではマングースによる食害も報告されている一方で、マングース天国の沖縄では食害の報告がなかったり、この辺の違いがちょっと気になるようなならないような感じです。また沖縄で暮らすチャンスがあれば検討してみたい課題です。
posted by かめふじ at 20:47| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月06日

【論文】オサガメ産卵巣の砂中温度と性比

High beach temperatures increased female-biased primary sex ratios but reduced output of female hatchlings in the leatherback turtle.
Tomillo et al. 2014
Biological Conservation, 176, 71–79


ウミガメ類を含むカメの仲間は卵の期間をどれくらいの温度で過したかによって性が決まる温度性決定というシステムを持っています。ウミガメの場合は29.5度を境にそれ以上だとメス、それ以下だとオスになります。そんなわけで、近年大きな環境問題として取り上げられている地球温暖化がこのまま進むとウミガメはメスばかりになってしまうのではないか、というようなことが言われています。

この研究では、砂中温度の性への影響だけでなく、卵の正常な発生、つまり無事子ガメに育つかどうかまで調べています。その結果、これまで言われてきた通り、確かに砂中温度が高いと性比はメスに偏るのですが、あまり高温になってしまうと卵の正常な発生率が著しく低下してしまうことが明らかになりました。
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赤く示した、だいたい28.3〜30.4度の範囲を外れると卵の正常な発生率が極端に低下することがわかります。

化石記録で知られているかぎりでは白亜紀初期から産出したSantanachelys gaffneyiが最古のウミガメとして知られています。以来、地球は長期的な気候変動で何度も温暖な時期や寒冷期を経験してきたわけですが、ウミガメ類の性比は温度との関係だけで考えればその間に何度も偏ってきたはずです。しかし、この研究では確かに性比は偏るものの、実際に成長して子ガメとして海に戻っていく個体の性比を見ると、これまで考えられてきたよりは偏っていないことがわかります。

ここから先は論文には書いていないことですが、砂中温度への耐性が幅広いとこうした環境変化によって性比に偏りができて、個体群全体が影響を受けることもありそうです。耐性の狭さは個体群内の性比を一定に保つために得られた適応の結果なのかもしれません。

【追記】「耐性の狭さは個体群内の性比を一定に保つために得られた適応」は群淘汰ではないか、という指摘がありました。「温度耐性があまり広くなかったから環境の変化に振り回されて性比が極端に偏ることなくやってこれた」と表現すべきでした。
posted by かめふじ at 02:27| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月18日

【論文】ハバネロを用いたウミガメ産卵巣の保護

こんな論文見つけました。

Use of Habanero Pepper Powder to Reduce Depredation of Loggerhead Sea Turtle Nests
Lamarre-DeJesus & Griffin, 2013
Chelonian Conservation and Biology 12(2), 262-267.


ハバネロを用いたウミガメ産卵巣の保護

ウミガメの産卵巣は100個近い卵が眠っているため、掘りだすことができれば重要なタンパク源となります。以前紹介した論文ではマングースによる食害が報告されました。また、沖縄本島でのアカマタによる食害も写真で紹介しました。この調査を行った地域ではコヨーテが主な捕食者らしいのですが、地域によっては他にもアライグマやキツネ、アルマジロなんかもウミガメの卵を狙ってやってくるそうです。

【論文】ウミガメの卵:産卵深度と被食の関係

この論文は、これらの野生生物によるウミガメ産卵巣の食害防除策として、ハバネロを使って捕食者回避を試した報告です。この研究では66個のアカウミガメ産卵巣を対象として、対策なし10巣、従来の網掛けによる防除33巣、卵の直上にハバネロ10巣、産卵巣の表層にハバネロ10巣を準備してコヨーテによる食害の被害率を比較しています。その結果、対策なしと直上にハバネロでは半分近くの産卵巣が食害に遭いましたが、網掛けと表層ハバネロでは著しく食害率が低下したようです。従来の網掛けによる食害防除は砂掘って網掛けして、と作業の手間もかかるし1巣あたり7.5ドルというコストがかかる一方、ハバネロは砂に混ぜるだけで1巣あたり2ドルとコストも低いため、食害防除として有効なのでは、と提案されています。

一方で、今回は食害率のみを比較していい結果が出た、と報告できましたが、卵から出てきたばかりの子ウミガメにハバネロが及ぼす影響についてはノータッチであることについても言及しています。確かに生まれてきたばかりのカメの目や鼻にハバネロが…と考えるととてつもなく痛そうですし、しかもその後海水に入るんですよねそれなんて罰ゲームですか、という気がしないでもありません。子ガメは走光性といって波あたりが光る方向を目指して海に入るわけですが、目を潰されてしまってはそれどころではありませんし。

そんなわけで今後は子ガメへの影響も検討していく必要がありますね、という内容の論文でした。
posted by かめふじ at 01:34| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月16日

podcastで英語の勉強

先日、瀬戸臨海実験所で国際フジツボシンポジウムというイベントが開催されました。僕も30分の時間をいただいて発表してきたのですが、そこで改めて思い知らされたのが自分の英語のプアプア加減です。なんとか言いたいことは言えたと思わないでもないのですが(アクション含む)、相手が何を言ってるのかほとんど聞き取れないのです。

これはいかん、この英語の駄目さ加減をどうにかせんといかん、ということでpodcastというものに手を出してみました。
幻影随想:英語耳を鍛えるための科学なポッドキャスト10選
上の記事ではScieneceやNatureなど科学ニュースを中心としたおすすめpodcastが紹介されているのですが、natureやscienceのような総合誌では宇宙やら植物やら物理やら全く分野外で日本語で聞いても無理そうな話題も多そうです。

そんなわけで僕はロンドンの動物学会が発行している学術誌 Journal of Zoology のpodcastを選んでみました。

Journal of Zoology Podcast

Journal of Zoologyに掲載された論文の著者たちへのインタビューが録音されています。2013年のSpring号には、奄美大島のオットンガエルの指に関する論文の著者、岩井紀子さんへのインタビューもあるのですが、同じ日本人とは思えないくらいペラペラとインタビューに応えていてかっこいいなぁと思いました。

論文も手に入れたのでpodcastのインタビューと合わせて英語の勉強を… ( ˘ω˘)スヤァ
posted by かめふじ at 22:22| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする