2018年10月23日

放送大学から学術論文にアクセスする

学術論文に日常的にアクセスできるかどうかは研究生活を支える最も重要なインフラの1つと言っていいだろう。大学・大学院を卒業し民間企業に就職してしまうと多くの場合は出版社と契約していないため、マトモに入手しようとすれば論文1本40ドルなどと吹っ掛けられることとなる。旧帝大をはじめとする恵まれた研究大学にいると論文が手に入るのは当たり前という感覚になるが、残念なことに大学の外に一歩出ればPDFなど落ちていない。運が良ければ著作権を無視した著者がresearchgateにupしたPDFがあるかもしれないが、多くの場合は「Purchase PDF」とボタンが出てきて諦めることになるだろう。東大の大学院を修了して地方国立大に異動したポスドクが「こんなに論文が手に入らないなんて」などと嘆くシーンも何回か見かけたが、その地方国立大の契約誌数ですら圧倒的にうらやましく感じるのがアカデミア外の在野の研究者生活である。これまで僕も旧帝大・地方国立・旧独法研究所とアカデミック機関に在籍した期間があるが、
旧帝大>地方国立>>>>圧倒的に超えられない壁>>>>旧独法研究所>超えられないけどもはやどうでもいい壁>民間会社(ゼロ)
というのが実際に体感した印象である。

幸いにも出版社の論文サイトには著者のメールアドレスが載っていることが多いので直接
「アンタの論文おもしろそうだからPDF送っておくれ」
とメールすればだいたい手に入るものだが、返事が来るかどうかは相手次第、相手が忙しい場合にはスルーされるし場合によっては迷惑メール行きで入手不可能なんてこともありうる。「さいはぶ」という最後の手段もあるけど、いつまで使えるかもわからないしそもそも真っ当な方法ではないので万人におススメできる手段ではない。

なんとか合法的に学術論文にアクセスする方法はないだろうかと考え、放送大学入学という手段を思い付いた。放送大学の学生として電子ジャーナルアカウントを作成し、学術論文にアクセスできないだろうか。以下は選科履修生として入学した僕が試してみた放送大学からアクセス可能な出版社と各学術誌のリストである(僕が興味ある分野、生態学、動物学、海洋学あたりを中心にクリックしてチェックしただけなので、ここにリストしていないものは未チェック)

Springerは Marine Biology, Biodiversity and Conservation, Environmental Biology of Fishes, Oecologia, Biological Invasions, Evolutionary Biology, Evolutionary Ecology, Population Ecology, Limnology, Conservation Genetics Resources, Ecological Research, Hydrobiologia, Ichthyological Research, Journal of Ornithology, Polar Biology, Helgoland Marine Research, Landscape and Ecological Engineering, Wetlands Ecology and Management, Marine Biotechnology, The Science of Nature (Naturwissenschaften), Fisheries Science, Landscape Ecology…などなどチェックしたものはなんでも読める感じ。

一方で SpringerLinkからNature系列誌には飛べず、Nature本誌含め姉妹誌は全滅っぽい。Wileyも学内からのみ一部だけアクセス可能ということでほぼ全滅。ScienceとPNASもリンクなし、Royal Society, Oxford Journals, Taylor and Francis, BioOneも全滅。

Cambridgeは人文・社会科学分野パッケージの252タイトルのみ閲覧可能ということでJournal of the Marine Biological Association of the United Kingdomは読めなかった。

悪名高いElsevierに関しては読めたり読めなかったりでその傾向がよくわからない。
読めたものは以下(もちろん一部のみ)、
Molecular Phylogenetics and Evolution, Animal Behaviour, Biological Control, Trends in Ecology & Evolution, Zoologischer Anzeiger, Zoology, Marine Policy, Gene, Ecological Complexity, Ecological Genetics and Genomics, Journal of Insect Physiology, Journal of Thermal Biology, Journal of Human Evolution, Fungal Ecology, Mycoscience, Journal of Historical Geography, Mammalian Biology, Evolution and Human Behavior.

読めなかったものは以下、
Journal of Experimental Marine Biology and Ecology, Ecological Indicators, Biological Conservation, Current Biology, Water Research, Marine Pollution Bulletin, Gondwana Research, Palaeogeography Palaeoclimatology Palaeoecology, Marine Environmental Research, Marine Chemistry, Journal of Great Lakes Research, Journal of Theoretical Biology, Ecological Engineering, FEMS Microbiology Ecology, Journal of Sea Research.
特に分野に偏りがあるようにも思えず、雑誌チョイスの基準がよくわからない。Current BiologyとJournal of Experimental Marine Biology and Ecology, Marine Pollution Bulletinは読めると嬉しかったのだが。

放送大学には卒業を目指すガチ勢の全科履修生と、興味ある科目だけ履修する選科履修生、科目履修生とある。今回学術論文チェックをした僕は選科履修生で1年間の在学期間を許されている。電子ジャーナルアクセス権に全科と選科の違いはないようだ。1科目でも履修し続けていれば放送大学の学生である。2018年10月入学で、2科目4単位を履修中である。入学金9000円と2科目の授業料22000円で31000円だった。1単位5500円、1科目2単位11000円で半年間上記リストの学術論文アクセス権を入手できると考えると安いだろうか高いだろうか。


なおZootaxaは何をしても読めない模様(さいはぶでも入手不可
posted by かめふじ at 17:41| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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