2019年04月03日

【論文】学名にハイフン?

先日、大阪市立自然史博物館に本草学資料の調査に行く機会がありました。
お世話になった学芸員さんに「ちょうど出たばかりなんですよ」と博物館紀要(物理)をいただき、そういえば博物館の紀要ってどんなん出てるんだろ、とパラパラ眺めていたのですが、その中にちょっと気になるところが。

中M直之, 瀬口翔太, 藤本将徳, 有本久之, 伊藤建夫, 藤江隼平, 高柳 敦 (2019) 京都大学芦生研究林で2008年から2016年まで採集された甲虫類. 大阪市立自然史博物館研究報告, 73, 91-105. 【リンク
nakahama.jpg
↑???  マルヒラタケシキスイという甲虫の学名が Parametopia x-rubrum となっていて、学名にハイフンが入っている。これって適格なんだっけ?

…というわけで国際動物命名規約第4版(物理)を確認してみたのですが、ありました。

条32の「32.5. 訂正されなければならない綴り(不正な原綴り)」のところですね。
kiyaku2.jpg
32.5.2.4.3. 先頭要素がそのタクソンの形質を説明的に示すために使用されるラテン文字1文である場合,それを維持し,ハイフンを介してその小名の残りの部分をつなげなければならない.
例:Polygonia c-album(シータテハ)中の c-album.このチョウの翅の白い斑紋が文字cに似ていることが名付けられた.


マルヒラタケシキスイを画像検索してみると… 【検索結果】

翅に赤く小文字のxのような模様が確かにあります。xがこの「翅の形質」を説明的に示しているので、ここではハイフンを維持して種小名を繋がなければならないというわけですね。平嶋 (2012)によれば他にも後翅にc模様を持つキタテハ Polygonia c-aureum も「金のc」、エスハマダラミバエ Shiracidia s-nigrum も「黒いs」という意味で、同様にハイフン付きの学名が適格とされています。

フジツボでは見かけない学名の付け方で見つけたときは驚いてしまったのですが、規約上は有効な学名として現在も維持されているようですね。

【参考文献】
動物命名法国際審議会 (2000) 国際動物命名規約第4版 日本語版. 日本動物分類学関連学会連合.
平嶋義宏 (2012) 学名論ー学名の研究とその作り方. 東海大学出版会.
posted by かめふじ at 21:59| Comment(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする